こちらでは、『映画Lamb/ラム』のアダと父親のラストについてまとめています。
この記事が、映画『Lamb/ラム』をさらに楽しんでいただくための、お役に立てたら嬉しいです。
ラストは衝撃でした!
エイダ(アダ)と父親はどこへ行ってしまったのでしょうか?
ずっと心に引っ掛かったまま…。
第74回カンヌ映画祭Prize Of Originality 受賞作品
『映画Lamb/ラム』のあらすじと感想をお届けします。
映画 『lambラム』の父親は誰?を解説!アダと父親はどこへ消えたのか
【父親は誰?を解説】
アダの父親は、はじまりのあらしの夜に羊小屋に忍び込んだ羊人間です。
顔は羊で、身体は人間でした。
最後にイングヴァルをライフルで撃ち、アダを連れて山の奥へ立ち去りました。
《アダと父親はどこへ!?》あらすじより伏線をたどります。
(誰だったのか?=最後の羊人間=アダの父親)
→クリスマスの夜にアダが生まれた(半分は人間、半分は羊の赤ん坊)
→羊人間、自分(アダ)と同じ体をしている。
アダの父親だろう!
父親は、インヴァルを殺し、アダの手を引いて山の奥へ
→山の奥には、羊人間の住処(すみか)があるのだと思われる。
映画「Lamb/ラム」の私の感想
アイスランドの自然豊かな農場は心が洗われそうに澄んだ景色です。
ところが、ずっと気持ちがざわざわしながら物語が進んでいきます。
娘を亡くした夫婦にとって、半分が人間の身体で生まれてきた羊は娘アダの生まれ変わりに思えたのでしょう。
アダの誕生から夫婦の日常が充実していく様子がよく汲み取れました。
愛情を注ぐ相手があるということはこんなにも人を変えるんだなあと、夫婦の幸せな変化に驚きました。
本当の娘ではないと分かっていても、きっと神様がくれたプレゼントだと二人は思いたかったのでしょう。
だから、それをじゃまする母羊を殺し、夫の弟を追い払うことに躊躇がなかった妻、マリア。
ラストは自然の摂理に逆らった夫婦に罰が与えられたようで気の毒に思えました。
アダの父親であろう生き物(羊人間)が、マリアが母羊を撃った同じライフルで、夫イングヴァルを撃ちました。
最後までアダの手を離さなかったイングヴァルもまた、アダを本当の娘だと信じて育てていたんですね。
アダは成長するにつれ、自分とは見た目の違う夫婦が「育ての親」だと気が付いていたことでしょう。
それでも、自分に深い愛情を注いでくれたマリアとイングヴァルにアダも愛情を感じていたのは間違いありません。
最後まで涙目でイングヴァルを振り返りながら、謎の生き物(アダの父親=羊人間)と山奥へ消えていったのですから。
山の奥には誰も知らない羊人間の世界があるのでしょう。
母羊を殺した夫婦へ仕返しをし、自分の子供を取り戻した父親。
私は、アダはもう戻ってこれないだろうと感じました。
ラストシーン、マリアが天を仰ぎます。
その心中。
「とうとうこの日が来てしまった。最悪のかたちで」
心の底では分かっていたのではないでしょうか?
きっとアダはいつか居なくなると。
「Lamb/ラム」映画のあらすじと結末
アイスランドの広大な自然で暮らす夫婦に贈り物が届いた。
舞台はアイスランドの大自然。
夫婦が羊の世話をし、農場を営でいる。
ある吹雪の夜に羊小屋に謎の生物がやってきた。
クリスマスイブに生まれた子羊。
顔は、羊で身体は人間だった。
「Lamb/ラム」映画のあらすじ① アイスランドの農場で
【あらすじ①】
舞台は自然豊かなアイスランド
マリアとイングヴァルの夫婦は羊の世話と、農業をしながら静かに暮らしていた。
犬と猫も飼っている。
夫の趣味は音楽を聞くこと。
妻は洗濯を干し、読書を楽しんでいる。
ある、嵐の晩羊小屋に何者かが侵入、羊たちが恐がって一斉に小屋の隅に逃げた。
※(①ここは、伏線です)
そして、
クリスマスイブの夜に羊の赤ん坊が生まれた。
二人は驚いて顔を見合わせる。
その羊の赤ん坊はただの羊ではなかったからだ。
夫婦はたらいの中でその子羊を入浴させ、哺乳瓶でミルクを与えた。
子羊を夫婦の隣のベッドで寝せ、
まるで、二人の子供のように育て始めた。
妻はその子を腕の中で抱いて子守唄を唄った。
その様子を見た夫は農場のトラクターの中でうれし泣きをした。
「Lamb/ラム」映画のあらすじ②アダの誕生
【あらすじ②】
夫婦はその子(羊の赤ん坊)をアダと名付けた。
夫婦の生活にだんだん張り合いが生まれていった。
時々、母羊が夫婦の寝室の窓から中に向かって何かを訴えて泣いた。
ある日、アダの姿が家から消えた。
夫婦が必死に探すと、遠く離れた草原で母羊の横にアダが横たわっていた。
夫婦がアダを抱き上げて家に連れて帰った。
まるで自分たちの娘のように。
このとき、くるんだショールからアダの身体が飛び出ていた。
顔は羊だが、手足は人間だった。
「Lamb/ラム映画」のあらすじ③弟の登場
【あらすじ③】
ある晴れた日、妻(マリア)とアダは野原で花を摘んで冠を作って遊んだ。
アダは成長して、人間のズボンをはいてセーターを着ていた。
その頃、
少し離れた道端では一台の車が男とその荷物を下して走り去った。
男は歩いて夫婦の農場へ向かった。
その晩、妻は夢でうなされていた。
目がギラギラ光った羊の軍団が自分を見つめている。
妻が起きると、
窓の外からあの母羊がアダに向かって鳴き声をあげていた。
マリアはライフル銃を持ち出し、母羊の頭を撃った。
そして、引きずっていき、土を掘って穴の中に埋めた。
異様な様子だった。
歩いて、家にたどり着いた男がマリアの様子を陰から見ていた。
翌朝、納屋で目を覚ました男を夫(イングヴァル)が見つける。
男は夫の弟(ペトゥール)だった。
夫婦は弟にアダを紹介した。
弟はアダを見て驚いた。
4人で食卓に座って一緒に食事を取ったが、
弟は夫婦の幸せそうな顔を見て、複雑な気持ちだった。
マリアとアダが楽しそうに入浴する様子を見て更にかたまってしまう。
アダは顔は羊だが、人間の身体をしていた。
夫婦も弟の帰宅を危惧していた。
「どうして彼は戻ったの?」
「さあ?」
ある日3人は、農場でジャガイモの収穫をしていた。
弟がアダに雑草を与えると、アダはその草を美味しそうに食べた。
「こいつは動物だよ、人間ではない」と弟が言うと、
夫(イングヴァル)は怒り出した。
その晩、弟は夫婦の寝室からアダを連れ出した。
ライフル銃を持っている。
妻がベッドにアダがいないことに気が付き探し回った。
すると、
アダは弟に抱かれてソファで眠っており、
マリアは安心して微笑んだ。
弟(ぺトゥール)はアダを殺せなかったのだ。
「Lamb/ラム」映画のあらすじと結末!アダと父親はどこへ?
【あらすじと結末】
マリア(妻)とアダはお墓参りをしていた。
お墓に刻まれた名前はアダだった。
夫婦は娘アダを亡くしていたのだ。
彼らは羊から生まれたアダを娘の生まれ変わりだと思ったのだろう。
夫はアダに絵本を読み聞かせたり、犬と一緒に走り回って遊んだ。
弟もアダを可愛がってくれた。
農場のトラクターの横にアダを乗せたり、ボートに乗せて二人で釣りをした。
夫婦は弟とアダの関係を見て嬉しく思った。
ある日、トラクターが故障してしまい、弟とアダは歩いて家まで帰って来た。
休日に、夫婦と弟はテレビのスポーツ観戦に熱中していた。
アダが退屈で外へ出ると、何かが現れた。
犬が吠えている。
アダは何かを見て急いで家の中に戻った。
自分の身体を鏡で見てみる。
※アダは何か怖いものを見たのだ!
(怖いものとは何か?
(※②ここも伏線です)
恐くて夫(イングヴァル)にしがみついた。
酔った弟は、マリアが母羊を撃ったことを持ち出して脅した。
そこで、マリアは弟を部屋に閉じ込め、
弟の声を無視しながらピアノを弾き続けた。
朝方、マリアは弟(ぺトゥール)を起こし、彼の荷物をまとめ一緒に車に乗せた。
弟は分かっていた。
もう、自分はこの家から立ち去らなければならない。
マリアは弟を離れたバス停まで車で送った。
そして、少しお金を持たせてあげた。
「アダは私たちがもらったプレゼントなの」
「分かったよ」とぺトゥール。
二人はハグして別れ、バスに手を降るマリア。
その頃、夫とアダは一緒に朝ご飯を食べていた。
いつもの幸せそうな父子の時間。
夫はアダの手を引いてトラクターのある草原まで歩いた。
アダに話しかけながら歩く、二人はとても幸せそうだ。
夫がトラクターのエンジンを修理するが、上手くいかない。
その時アダは近くで花を摘んでいた。
突然ライフル銃の音がした。
イングヴァル(夫)が喉を撃たれて倒れた。
横に駆け寄りイングヴァルの手を握るアダ。
そのアダの手を不気味な男?が引っ張った。
イングヴァルが必死につなぐアダの手が離れていった。
※立派な角がある動物で羊の身体をしており、下半身は人間だった。
※きっとアダの父親だろう。
何度も振り返りながら、涙目でイングヴァルを見つめるアダ。
しかし
アダは謎の生き物(アダの父親=羊人間)に連れられ山の方へ行ってしまった。
マリアが車で家に戻ると、外では犬が死んでいた。
イヤな予感がして二人を探しにトラクターの所まで走った。
アダと夫はどこなの?
しばらく走ると、夫が喉を撃たれて倒れていた。
夫を抱きしめ途方に暮れるマリア。
何があったの?
アダはどこ?
夫は苦しそうに息絶えた。
アダはどこ?
あたりを見回すが、どこにもアダはいない。
マリアは放心状態で天を仰いだ。
(おしまい)
「Lamb/ラム」映画の概要と受賞
【概要】
●制作と公開:2021年のアイスランド・スウェーデン・ポーランド映画
●ジャンル:サスペンス・ドラマ
●監督:ヴァルディミール・ヨハンソン
●脚本:シェン
ヴァルディミール・ヨハンソン
●主人公:マリア=ノオミ・ラパス
●受賞:第74回カンヌ国際映画祭Prize Of Originality
アカデミー賞国際長編部門アイスランド代表作品
●A24の作品。
Strange, singular, unclassifiable, eerie… That’s what this trip to Iceland promises us. Valdimar Jóhannsson’s #LAMB, starring Noomi Rapace, won the Prize of Originality in the Un Certain Regard section at #Cannes2021, is shortlisted for the #Oscars2022 and is in theatres now! pic.twitter.com/9cuvnX1VCO
— Festival de Cannes (@Festival_Cannes) December 29, 2021
※A24の他の作品『アフターヤン』の記事も書いています。
よろしければ、こちらからお読みください。
「Lamb/ラ」映画のキャスト
【キャスト】
●マリア=ノオミ・ラパス(農場の妻)
●イングヴァル=ヒルミル・スナイル・グズナソン(農場の夫)
●ペトゥール=ビョルン・フリーヌル・ハラルドソン(夫の弟)
●アダ=夫婦の子供
以上、
(ここまでお付き合い下さり、ありがとうございました。)
A24のグリーンナイトの記事も書いています。
よろしければ、こちらからお読みください。
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