タランティーノ監督の第9作品『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
落ち目のハリウッド俳優を「ディカプリオ」と、そのスタントマンを「ブラッドピット」のコンビが演じました。
同監督の『パルプ・フィクション』を思い起こさせるように、「よく分からない映画だな…」と思う人が多い映画です。
そこで「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドはよくわからないのはなぜか?」を解説します。
また、物語は1969年8月9日。
実際に起きたシャロン・テート事件を背景に物語は進みます。
しかし、この映画の結末は実話とは違います。
映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が実話と違う点についても解説します。
この記事が映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』をさらに楽しんでいただくために、お役に立てたら嬉しいです。
- 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』よくわからないを解説
- 「ワンスアポンアタイムインハリウッド」映画は実話と違う!
- タランティーノ監督が伝えたかったことは?
- 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』あらすじ
- 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』あらすじ①: 落ち目のハリウッド俳優リックとスタントマン=クリフ
- 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』あらすじ②: 新進気鋭の監督とその妻、若き美人女優シャロン・テート
- 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』あらすじ③: 「対決ランサー牧場」リック、悪役に徹する
- 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』あらすじ④: スパン映画牧場にはカルト集団のアジトが!
- 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』あらすじ⑤: イタリア西部劇で再起したリック
- 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』あらすじ⑥: マンソン・ファミリーの襲撃と最後
- 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』感想! 「パルプ・フィクション」との比較
- 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』概要・キャスト・受賞
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』よくわからないを解説
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は、同監督の『パルプ・フィクション』同様に「よく分からない映画だな」と思う人も多いでしょう。
そこで「よくわからないのはなぜか?」を解説します。
よくわからない理由①:物語につながりがないから
映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』がよくわからないと感じる1つ目の理由は、初めから最後まで物語につながりが見つけられないからです。
はじめから最後まで、上手くつながらないまま物語が進むのでますますよくわからなくなります。
この描き方は、『パルプフィクション』を思い起こさせます。
これはタランティーの監督の表現方法だと言えるでしょう。
よくわからない理由②:会話が長いのが気になるから
映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』がよくわからないと感じる2つ目の理由は、会話がやたら長いのが気になるからです。
よくわからないな、と思っているところへ長い会話が加わり、この会話はどうしても必要だろうか?と不思議に感じます。
この描き方は、『パルプフィクション』にも見られました。
タランティーの監督の表現方法なのでしょう。
「ワンスアポンアタイムインハリウッド」映画は実話と違う!
ロマン・ポランスキー監督邸で、
監督は出張しており、留守宅に居た妻のシャロン・テートと友人夫妻が亡くなっています。
【実話と映画の違い】
映画では、マンソン・ファミリーが襲撃をリックの家に変更したことにより、
監督の屋敷は何事もなく、
妻、シャロン・テートは無事だったところで物語は終わります。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の
脚本を書き、監督を務めた
クェンティン・タランティーノ氏は、
1963年生まれです。
実際の事件が1969年に起きていますから、
タランティーノ氏は子供時代にこの事件を知り、ずっと忘れられなかったのでしょう。
そして、タランティーノ氏は、ハリウッドの映画界を深く愛する、映画好きで有名な監督です。
この映画の結末は、
タランティーノ監督の、
「こうあるべきだった」
「こうあって欲しかった」
という希望の表現方法だったのではないでしょうか?
=実際に起こったシャロンテート事件に対する怒り
だから、
映画の中だけでも救いたかった。
ラスト15分は飛び上がらんばかり、
驚きのシーンの連続でした。
クリフに撃退された襲撃犯のテックスと、
ケイティは、これでもか!これでもか!と
とことん傷めつけられます。
最後に、プールへ逃げこんだセイディは、
リックが、
そこまでするのか!という行為に及び、死亡しました。
「この事件のような暴力を絶対に許さない」
だから、
映画の中では暴力を更なる暴力で制裁したのでしょう。
そして、実話には存在しなかった、
俳優リックとそのスタントマン、クリフ。
映画の始まりはハリウッドでの仕事が下降気味の二人(リックとクリフ)と、
ハリウッドでぐんぐん上り調子の監督夫妻は光と影のように対照的でした。
影の存在だったリックとクリフが
ハリウッド映画界の危機を救ったのです!
※タランティーノ監督の『パルプフィクション』の記事も書いています。
よろしければ、こちらからお読みください。

タランティーノ監督が伝えたかったことは?
●そして、二人(リックとクリフ)がヒーローに返り咲くこと
だったのではないか!
タランティーノ氏は、ハリウッドの映画界を深く愛する、映画好きで有名な監督です。
そんな、タランティーノ監督にとって、ハリウッドの映画界に理不尽な死をもたらしたシャロンテート事件は許せない行為なのです。
映画の中だけでも事件を未遂に終わらせたという、タランティーノ監督の思いが、伝わりました。
最後の襲撃集団に対する、すさまじいまでの反撃は、理不尽なあの事件を絶対に許さないという監督の怒りだと感じました。
それを制したのは、実在しないリックとクリフでした。
タランティーノ監督は、ハリウッド映画界では落ち目で居場所をなくす二人をヒーローに返り咲かせたかったのでしょう。
自分の好きなハリウッド映画界はこうであって欲しいという思いをリックとクリフを通して描きたかったのだと、私は考察しました。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』あらすじ
【簡単なあらすじ】
この映画の主題は、
ハリウッドの黄金時代に
1969年実際に起こったある殺人事件を背景に描かれる
架空のハリウッド俳優(リック)とスタントマン(クリフ)との友情です。
<シャロン・テイト殺人事件とは>
1969年8月9日
ハリウッドの若き女優シャロン・テートが妊娠中に
カルト集団:チャールズ・マンソン・ファミリーに襲われ、
26歳の若さで亡くなった。
【あらすじ見出し】
②新進気鋭の監督とその妻、若き美人女優シャロン・テート
③「対決ランサー牧場」リック、悪役に徹する
④スパン映画牧場にはカルト集団のアジトが
⑤イタリア西部劇で再起したリック
⑥マンソン・ファミリーの襲撃と最後
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』あらすじ①: 落ち目のハリウッド俳優リックとスタントマン=クリフ
【あらすじ①】
リック・ダルトン(ディカプリオ演)は、
かつての西部劇のスター俳優だった。
テレビの看板番組を持っていたが、その後、映画界への転身に失敗していた。
最近は、悪役とゲスト出演のみだ。
俳優としては、ちょっと下降気味で悩んでいる。
映画プロデューサーのシュワーズ
(アルパ・チーノ演)はリックを気に入っており、
イタリアの西部劇へスカウトした。
が、リックは格落ちのような気がして返事を渋る。
クリフ(ブラッド・ピット演)はリックの専属スタントマン兼付き人、
そして親友。
現場ではもめ事が多く、仕事がない。
せっかくもらったスタントマンの仕事も
ブルース・リーともめ事をおこし、
解雇された。
だが、クリフはどこかひょうひょうとしていて、全くうろたえることはなく
リックの気持ちを上手に引き立ててやる親友でもあった。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』あらすじ②: 新進気鋭の監督とその妻、若き美人女優シャロン・テート
【あらすじ②】
リックの住む高級住宅街
「シエロ・ドライブ」
リックの隣の家に
新進気鋭、上り調子のロマン・ポランスキー監督とその妻、
シャロン・テート(マーゴット・ロビー演)が引っ越してきた。
斜陽気味のリック、クリフとは対照的に
監督夫妻は輝いていた。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』あらすじ③: 「対決ランサー牧場」リック、悪役に徹する
【あらすじ③】
リックは、『対決ランサー牧場』の主役の若い俳優から、
あの『大脱走』の主役の候補だったんですよね?
などと、過去の栄光を蒸し返される。
リックの役は、その若い俳優の敵、
つまり悪役だ。
付けひげを付け、髪型も変えられ、これでは自分(リック)だと分からないではないか!
と落ち込みながら役に臨む。
昨夜の酒がたたり、台詞を二回も忘れた。
だが、最後の演技はすごく良かった。
悪役として人質に取った少女役のトゥルーディが演技の後に言ってくれた。
「今まで見たどの演技よりも素晴らしかった」と。
リックは嬉しかった。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』あらすじ④: スパン映画牧場にはカルト集団のアジトが!
【あらすじ④】
街中にはヒッピー族があふれかえっていた。
クリフが車を流していると、
時々目が合うヒッピーの少女、
プッシー・キャット。
車を横付けて話してみると、
「スパン映画牧場」に住んでいると言う。
以前、映画の撮影で訪れたことがあるし、
牧場主を知っているので少女を牧場まで送ってやった。
だが、牧場主=ジョージスパーンは、記憶があいまいで、目が見えなくなっていた。
マンソン・ファミリーに利用され、
牧場を乗っ取られていたのだ。
(ここは、伏線)
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』あらすじ⑤: イタリア西部劇で再起したリック
【あらすじ⑤】
リックは、映画プロデューサー、マーヴィン・シュワーズのオファーを受け入れ、
イタリアの西部劇に主演で出演した。
もちろん、クリフもスタントマン兼付き人として付いて行った。
イタリア西部劇は大ヒットを納め、
リックは再びスター俳優として復活した。
半年のイタリア在住でリックは多くの収入を得た。
そして、
共演したイタリア人女優と結婚してハリウッドに戻ってきた。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』あらすじ⑥: マンソン・ファミリーの襲撃と最後
【あらすじ⑥】
「落ち目のリックとクリフがハリウッド映画界を救った!!」
(隣に住む監督の妻は友人夫妻を招いていた。
シャロンテートは妊娠中で、すでに大きなお腹を抱えている。)
リックとクリフ、この日は、ふたりの別れの夜だった。
長い付き合いだったが、今、リックは結婚して妻がいる。
クリフと今まで同様には付き合えない。
ふたりで酒を飲み歩いて騒ぎ、
「シエロ・ドライブ」にあるリックの家へ戻って来た。
ドラッグをやり、愛犬に餌をやるクリフ。
プールで浮かびながらヘッドフォンで音楽を聞くリック。
奥ではイタリアから連れ帰ったリックの妻が寝ている。
そこへ、、、
リックの家に突然、襲撃に押し入った3人の男女が!
あの時、
「スパーン映画牧場」で接触した
マンソン・ファミリーのうちの3人だった。
隣に住むロマン・ポランスキー監督邸の前の住人に恨みを抱いた犯行だったが、
この直前、リックに「俺の家に立ち入るな」と脅されたことで標的をリックの屋敷に変えたのだ。
クリフが台所にいると3人のマンソン・ファミリーが襲って来たが
クリフは、愛犬=ブランディに命令し飛びつかせ、男(テックス)を攻撃し、
赤毛の女(ケイティ)を徹底的に打ちのめした。
黒髪の女(セイディ)は、気が動転してプールへ逃げ込んだところを
リックにとどめをさされた。
(このラスト15分ほどに起きた暴力シーンは凄みがあり過ぎて、
目をおおうものでした。)
お尻にナイフが刺さったクリフは救急車で運ばれた。
警察が来て、事情聴取を終えたリックに
隣の監督の屋敷から、なにかあったのか?と声がかかる。
シャロン・テートは
「お酒でも一緒に飲みましょう」とリックを誘った。
「大変な夜だったわね、」と、
シャロンはなぐさめてくれた。
(おしまい)
※タランティーノ監督の『パルプフィクション』の記事も書いています。
よろしければ、こちらからお読みください。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』感想! 「パルプ・フィクション」との比較
【感想】
事前に何の情報もないままこの映画を鑑賞した私は、
8月9日のタイムカウントが出た時、ああ、何か事件が起きるのかな?
と不安に思いながら画面を見ていました。
最後のシーンでは急に展開が早くなり、あまりにも怖くて、目をおおいました。
そして、事件は終わる。
お尻にナイフが刺さって救急車で運ばれるクリフを見送るリックが、
「(やっぱり)お前は大事な友達だ」と言って、友情を再確認した場面が良かったなあ。
クリフは、本当につかみどころがない男で、リックの裏方で不服はないのかな?と、ずっと不思議に思っていました。
しかし、クリフがやりたいこと、大事に思うことはリックとは違うのでしょう。
そして、リックを助けて側にいることがクリフは好きだったんだな、きっと。
最後に、隣のポランスキー監督邸からシャロンの、のんびり~した声が聞こえた時にはどっと力が抜けて、安心しました。
シャロンが、自分の出演した映画を無料で観たり
(窓口で出演者だと伝えても、誰も分からなかったけれど)
自分の演技に周りの観客が笑う様子を嬉しそうにする様子は、本当に愛すべき可愛い人だな、と思いました。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
先日、鑑賞した『パルプ・フィクション』のように、時系列が違うのかな?
、、、そうでもなさそうだな。
突然、何か困ったことが起こるのかな?
、、、そうでもないなあ。
と、二つの映画を比べながら観ました。
クリフは、マンソン・ファミリーに捕まるのかな?
あのヒッピーの女の子(プッチ―・キャット)は何だったの?
どうして、シャロンがこんなに度々、出てくるんだろう?
今のところ、リックとクリフには関係なさそうだけど、、、。
などと、思いながら。
「会話が長くて、つながりが分かりにくい、何が大事なのかよく分からない。」
そこは、『パルプ・フィクション』と共通していました。
でも、ストーリーはまったく違いました。
そして、
最後の最後に畳みかけるように暴力シーンが続いた時。
あっ
この緊張感は『パルプ・フィクション』と同じだな、と感じました。
ああ、本当に怖かったです、最後。
そして、ホッとしました。
シャロン・テートの無事と、リックとクリフの友情が続くことに。
以上、
私の感想でした。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』概要・キャスト・受賞
●公開:2019年
●製作:アメリカ・イギリス
●ジャンル:スリラー映画
●監督:クェンティン・タランティーノ
●脚本:クェンティン・タランティーノ
●主演:レオナルド・ディカプリオ
ブラッド・ピット
※タランティーノ監督は、
映画『パルプ・フィクション』では、
第47回カンヌ国際映画祭のパルム・ドールを受賞。
1994年アカデミー賞では、脚本賞も受賞し、注目されました。
【受賞】
第92回アカデミー賞では、10部門でノミネートされ、
助演男優賞(ブラッド・ピット)と
美術賞が受賞を獲得しました。
【キャスト】
<主要キャスト>
=レオナルド・ディカプリオ
●クリフ・ブース=ブラッド・ピット
●シャロン・テート=マーゴット・ロビー
<ハリウッド、映画、関係者>
=ラファエル・ザビエルチャ
(新進気鋭の映画監督)
●マーヴィン・シュワーズ=アル・パチーノ
(映画プロデューサー)
●トゥルーディ・フレイザー
=ジュリア・バターズ
(リックと共演した子役の女の子)
●ブルース・リー=マイク・モー
(若手カンフー俳優)
●スティーヴ・マックイーン
=ダミアン・ルイス
(『大脱走』の主演俳優)
●フランチェスカ・カプッチ
=ロレンツァ・イッツォ
(イタリア人女優)
<マンソンファミリー>
=デイモン・ヘリマン
(カルト集団の指導者)
●プッシー・キャット
=マーガレット・クアリー
(クリフを気に入る少女)
●テックス=オースティン・バトラー
(襲撃犯・マンソンに次ぐ地位)
●ケイティ=マディセン・ベイティ
(襲撃犯・赤毛のパーマ)
●セイディ=マイキー・マディソン
(襲撃犯・黒髪のストレート)
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※タランティーノ監督の『パルプフィクション』の記事も書いています。
よろしければ、こちらからお読みください。

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