こちらでは、映画『ベルファスト』のあらすじを解説しています。
主人公の子供バディが可愛くて、泣き笑いしながら鑑賞しました。
1969年、北アイルランドのベルファストは、激動の時代に揺れていました。
ベルファストの困難な状況の中で成長する少年と家族は、故郷を離れる決断を迫られていたのです。
映画『ベルファスト』のあらすじや感想をお伝えしますね!
映画「ベルファスト」 簡単なあらすじ
【簡単なあらすじ】
1969年8月15日
舞台は、北アイルランドのベルファスト。
突如、プロテスタントの武装集団がカトリック住民を攻撃し始めた。
住民の全てが顔見知り、まるでひとつの家族のように生活するベルファストはこの日を境に分断された。
ベルファストで生まれ育った、労働者階級の家族の物語。
9歳のバディは両親と兄の4人家族。
近所の人々に愛され、映画や音楽を楽しみながら平和に暮らしていたが、この日を境にバディ一家の生活は一変し、危険を感じるようになった。
日々、暴力におびえる生活が続き、バディの父親はベルファストを出ようと言い出すが、母親は故郷から離れることに消極的だった。
バディの近くにいるユーモアたっぷりの祖父母の存在が素晴らしい。
ベルファスト映画のあらすじ(序盤)
【あらすじ(序盤)】
1969年、舞台は北アイルランド・ベルファスト。
バディは9歳の少年。
バディと優しい兄のウィルは、厳しい母のマーに愛情をもって育てられていました。
父パーはイギリスへ大工として出稼ぎに出ていて、各週末に帰ってくるのです。
地域は皆が顔見知りで、まるでひとつの家族のように仲よく暮らしていました。
バディの家族は決して裕福ではありませんでしたが、家族で映画や音楽を楽しみながら楽しい毎日を過ごしていました。
近くには父方の祖父母が住んでおり、バディは祖父に算数を教えてもらったり、祖父母と一緒に教会に出かけました。
バディはクラスメートのキャサリンが好きでした。
テストで二番になり、一番のキャサリンの近くに座ることが出来ました。
ところが、8月15日に突然事態が一変しました。
バディの地域のプロテスタント系の武装集団が同じ地域に住む少数派のカソリック系住民を襲撃し始めたのです。
車や家に火炎瓶が投げ込まれ、急いでマーがウィルとバディを家の中に避難させました。
1969年8月15日以降、
ベルファストは危険に包まれた街へと変わってしまいました。
ベルファスト映画のあらすじ(中盤)
【あらすじ(中盤)】
バディの住む地域では、プロテスタント系の武装集団から身を守るため、
バリケードが作られ、交代で見張りに立ちました。
それでも、襲撃は止むことがなく、暴力の不安と隣り合わせの毎日でした。
父、パーは武装集団のリーダーのビリーから仲間に入るよう何度も誘われましたが断りました。
父は、オーストラリアのシドニーへ移住しようと考えますが、母、マーは生まれ育ったこの街から出ることは考えられないと拒絶します。
ある日、バディの年上の友人モイラが
カソリックの商店を襲うグループに参加し、バディを引き連れて盗みをさせました。
バディはこわごわ、洗剤をつかんで逃げ帰ると、
母親は怒り、ふたりで洗剤を返しに行きました。
そこへ警察が駆けつけ、
武装集団がバディとマーを人質に取りました。
父、パーが店に駆けつけ、ビリーと戦い、ふたりを助けてくれました。
母、マーは、今回のことで、いつまでもここに居ては家族の命が危ないと感じました。
ベルファストを離れてロンドンへ行き、パーの親方の誘いに乗ることにしました。
そんな折、
父方の祖父ポップが亡くなります。街の皆で丁寧に見送りました。
寂しくなりましたが、葬儀の後のダンスホールでは皆が歌い、踊っておじいちゃんも笑って見ていたことでしょう。
祖母グラニーは、バディの一家がベルファストから出て行くよう応援してくれました。
ベルファスト映画のあらすじ(結末)
【あらすじ(結末)】
バディの一家はイギリス・ロンドンへ向かうため、バスを待っています。
父は、バディがキャサリンに別れを告げられるよう、家に連れて行ってくれました。
小さなお花とカードを渡すと、キャサリンは本をプレゼントしてくれました。
「またね。」
「あの子はカソリックだけど、僕は結婚できるかなあ?」
バディが父に尋ねると、
「あの子がヒンズー教徒でも、反キリスト教徒でも優しくて、寛大で、お互いを尊敬できればあの子も家族も大歓迎するよ。」
祖母が一家のバスを遠くから見送っていました。
「行きなさい!振り返らないで。I love you 」
祖母はひとり気丈に応援してくれました。
そして、
家に入ってから寂しそうに下を向くのでした。
(おしまい)
追記
【映画の最後テロップ】より
「残った者たちへ去って行った者たちへそして命を落とした者たちへこの映画を捧ぐ」
「ベルファスト」映画は実話なの?場所はどこ? モノクロの理由
【監督の半自伝的作品】
俳優でもあるケネス・ブラナー監督が自身の体験を基に脚本を書きました。
1969年、北アイルランドのベルファストは激動の時代でした。
少年バディの経験した暴力と分断を子供の目を通して描かれました。
アカデミー賞脚本賞の授賞式では、ケネス・ブラナー監督がこう語りました。
「この物語は、喜びや希望を模索する物語。
暴力に直面しながらも、希望を見出そうとする。
なかには痛ましく亡くなった人もいます。
これは人間たちの物語です。」(ケネス・ブラナー監督のスピーチより)
【ベルファストの場所】
舞台のベルファストは、イギリス・北アイルランドの首府です。
カムチャッカ半島と同じ緯度にあり、かなり寒いそうです。
【モノクロ撮影された理由】
この作品は、ケネス・ブラナー監督の自伝的作品ですが、監督が育ったベルファストは、よく雨が降っていて街の色合いは灰色だったそうです。
監督は、
当時の記憶を呼び起こすためにモノクロ撮影を選択したと語っています。
ベルファスト映画の感想
【感想】
先の見えない抗争が始まり、重い内容なのに鑑賞しながら泣き笑いができたのは、バディの子供らしい演技が可愛かったから。
家族を一生懸命守ろうとするお父さん。
そしてお母さんは厳しいけど愛情いっぱい、子供への接し方が素敵でした。
以下に、私が特に好きだったバディと祖父母との場面を挙げます。
近所に住む祖父がウィットに富む言葉でいつもバディを励ました
●おじいちゃんが、「キャサリンのことをどのくらい好きなの?」
と聞くと「結婚したい!」というバディ。
何て可愛いのでしょう。
●点数を上げて、クラスメートのキャサリンの隣に座りたい!
バディに算数を教えてくれたおじいちゃん。
「女の心をつかむには、黙っているか陽気に口説くこと!」
まるで大人にするようなアドバイスをしましたね。
バディは意味が分かったのでしょうか?
●「イングランドへ行っても僕の英語は通じるかな?」
アイルランド訛りの英語を不安に思うバディに「もし通じなくても、それは彼らがお前の言葉をちゃんと聞いていないからだ」
バディ側には問題がないんだよと励ましました。
バディに自信を持って欲しかったのですね。
祖母もいつもバディを包み込んだ そして、最後に一人で一家を見送った
●「おじいちゃんの葬式には多くの人が来てくれたね、、、」
とバディが言うと、
「おじいちゃんは人気があったから。借金もあったけどね」
このウィットに笑いました。
●最後にバディの一家が旅立つとき、
おばあちゃんは一人静かに見送りました。
「行きなさい!振り返らないでいいよ」
私は、このおばあちゃんの最後のシーンが忘れられません。
家族を愛していたから寂しい自分の気持ちを押し殺して応援してくれました。
どうか新天地でバディの家族が早く馴染めますようにと思いながら、私も最後の出発を見送りました。
映画「ベルファスト」概要:キャスト・受賞
【概要】
●製作:アイルランド・イギリス
●監督:ケネス・ブラナー
●脚本:ケネス・ブラナー
●音楽:バン・モリソン
●主題歌:「Down to Joy」
●主役:ジュード・ヒル
【キャスト】
母:マー=カトリーナ・バルフ演
父:パー=ジェイミー・ドーナン演
兄:ウィル=ルイス・マカスキー演
祖母:グラニー:ジュディ・デンチ演
祖父:ポップ=キアラン・ハインズ演
ビリー・クラントン=コリン・モーガン演
モイラ:上級生の女子=ララ・マクドネル演
キャサリン:初恋の女子=オリーヴ・テナント演
※バディの祖母(グラニー)を演じた
ジュディ・デンチは、
007シリーズでジェームズ・ボンドの上司
(=M)を長年務めた名女優です。
【受賞】
●受賞:脚本賞(ケネス・ブラナー)
●ノミネート:作品賞・監督賞・助演男優賞・助演女優賞・歌曲賞・音響賞
以上です。
この記事が、映画「ベルファスト」をもっと深く知るための参考になれば嬉しいです。
コメント