映画『キャロル』映像が美しく、鑑賞後は長く余韻が残りました。
キャロルとテレーズは、年齢・外見・生活する環境が全く違う女性。
二人がお互いを素敵だな・・と思うところから物語は始まります。
ケイト・ブランシェット演じるキャロルは夫と4歳の娘があり、妖艶で上品で美しい人妻。
写真家を夢見るテレーズ(ルーニー・マーラ―)は純真で、まじめで大きな瞳の可愛らしい女の子。
同性愛の是非を問う作品ではなく、二人の女性の美しさに感動したり、気持ちにドキドキする作品です。
『キャロル』映画のあらすじや感想をお伝えします!
『キャロル』映画 ラストとその後は?考察と感想
【考察と感想】
映画の時代背景は1950年代です。
キャロルの夫や義父母の言葉から察するに、
同性愛は心の病のように言われ、キャロルは心理療法まで勧められていました。
ですが
この映画は同性愛の是非を問うものではなく、
二人の女性の美しさに始終ドキドキし、美しい映像や音楽が心に沁みました。
観たあとの余韻が長く続くのは、
言葉よりも二人の表情やしぐさが美しい映画だから。
キャロルとアビーとの深い友情も羨ましいなあと思いました。
ラストは、一度は一緒に住むことを断ったテレーズでしたが、
キャロルが食事をするホテルへ戻り、
彼女にどんどん近づきます。
目と目が会ったキャロルは静かに微笑みました。
映画はここで終わりました。
考察その1)テレーズは初めてキャロルの申し出を断りました。
なぜでしょう?
- キャロルから距離を置かれ、寂しくて、それでも立ち直り、
やりたかった仕事に就き自信を付けたこと。 - やっと立ち直った自分が再び傷つきたくないという思いもあったのでは?
考察その2)ではなぜ戻ってきたのでしょう?
キャロルに断ったあと、友達のパーティーに参加するも全く楽しめず、
キャロルの存在は自分にとってかけがえのないものだと再確認したのでしょう。
考察その3)二人が見つめ合って終わり。では、その後は?
正確には、ここからがスタートなのでしょう。
自分の気持ちに正直に生きたいと、歩き始めたキャロル。
離婚が決まり、娘の親権を手放し、新しい仕事に就いたばかり。
テレーザと一緒に生きていきたいと彼女を誘いましたが、
この時代に二人が一緒に生活するには障害もあるでしょう。
キャロルと共に生きていこうと心に決めたテレーザにもその後は見えていません。
全てはこれからなのです。
ラストは、
お互いが必要だと気持ちを確認し、一緒に生きていこうと
二人が覚悟を決めた瞬間でした。
美しいふたりを見て幸せになれる、
大人のクリスマスにおススメの映画です!
『キャロル』映画の香水が気になるーー
【香水は?】
キャロルには赤いマニキュアや、煙草を吸う姿が良く似合います。
映画鑑賞からは、その香りまではわかりませんが、
素敵な香水を身に着けている女性のようです。
その1)手袋のお礼に初めてランチに誘われたテレーズは、
向かいに座るキャロルに
「香水の匂いが素敵ね」と伝えた。
「夫に結婚する前にもらった香水だけど、いまは離婚調停中なの」
とキャロルは答えた。
その2)二人で旅に出て、ホテルのスイートルームでオシャレを楽しんだ時にも香水が!
キャロルがスーツケースに入れていたメーク用品や香水を並べます。
「マドモアゼル、脈を打つところにだけ使うのよ」
とテレーズに渡し、
「ああ、素晴らしい香りね」と自分にも使ってうっとりする場面です。
※映画の中では
香水の名前が出てこなくて残念でした。
キャロルのような大人の女性に似合う香水って…
やっぱり、「シャネル」や「ゲラン」なのでしょうか?
想像するだけでワクワクします!!
『キャロル』映画 あらすじ① おもちゃ屋の出会い
【あらすじ】
時は、1952年のニューヨーク。
デパートのおもちゃ屋で働くテレーズは、
4歳の娘のクリスマスプレゼントを選びに来た美しい人妻、キャロルに目を奪われた。
毛皮を着こなし、気品に包まれた妖艶な女性だった。
キャロルが置き忘れた皮の手袋を自宅へ送ると、お礼にランチに誘われる。
テレーズは写真家志望で、リチャードという恋人がいたが、彼にときめきを感じることはなかった。
キャロルもまた夫ハージとの離婚調停中で、娘リンディの親権を争っていた。
ある日、テレーズはクリスマスを娘と過ごすキャロルの自宅に招かれた。
ところがクリスマスの直前に
夫が娘を連れて行ってしまい、二人の言い争いの場に居合わせることになった。
ひどく落胆したキャロルはテレーズに当たり、冷たく追い返すのだった。
テレーズが泣きながら帰宅すると、キャロルからすぐに謝罪の電話があった。
ある日、
キャロルはカメラとフィルムをクリスマスプレゼントに持って、テレーズのアパートを訪ねた。
『キャロル』映画 あらすじ② 二人で旅を
【あらすじ②】
夫は、キャロルの親友アビーとの親密な関係を理由に、娘に会えなくなる申し立てを起こした。
春まで娘に会えない。
再び落胆したキャロルは、テレーズを誘って旅に出た。
ドライブも、あちこちのホテルに気ままに滞在するのも楽しかった。
キャロルが持ってきたお化粧品や香水を試して盛り上がった。
旅の途中、テレーズからキャロルへのクリスマスプレゼントは、
以前テレーズがピアノで弾いた曲のレコードだった。
楽しい旅のある晩、二人は自然に結ばれた。
ところがその様子は、隣の部屋から夫が雇った探偵に録音されており、
娘の親権を持ちたいキャロルはテレーズと距離を置くことにした。
テレーズは寂しかった。
『キャロル』映画 あらすじ③ 夫と娘の間で
【あらすじ③】
キャロルは娘と暮らすため、夫の実家で義母や義父と形式的な暮らしをしており、
自分を偽るのにうんざりしていた。
テレーズが写真家として新聞社で働き始めたとアビーから聞いた。
偶然、審問に向かう車の中から、生き生きと働くテレーズの姿を見た。
垢ぬけてきれいになっていた。
この日キャロルは、弁護士たちのやりとりをさえぎり、
「娘のためには自分と暮らすより夫と暮らす方が幸せなのかもしれない」
と主張を一転させた。
「自分自身を偽って生きていく事はしたくないが、娘のことはとても愛している」
と伝えてその場を立ち去った。
夫の気持ちも少し動いたようだ。
『キャロル』映画 あらすじと結末 再会
【あらすじと結末】
テレーズの職場にキャロルから手紙が届いた。
二人はホテルのレストランで待ち合わせて久しぶりに会った。
キャロルは夫と離婚し、夫が娘の親権を持ち、時々は会えると言う。
そして、
自分は仕事をはじめ、大きめのアパートにいるから、一緒に住まないかと誘った。
しかしテレーズは初めてノーと言った。
キャロルは今にも泣きだしそうだった。
その時、テレーズの友人が声をかけて来て、これからパーティーがあるよと誘った。
キャロルは「愛しているわ」と言い、
テレーズの肩に手を置いてから立ち去った。
テレーズはまったくパーティーを楽しめなかった。
そして自分もキャロルを愛していることに気づき、
パーティーを抜け出したテレーズはキャロルが食事をするホテルへ向かった。
キャロルは奥で談笑していたが、
自分の方へまっすぐ近づいてくるテレーズと目と目が合い、
静かに微笑んだ。
(おしまい)
※ケイト・ブランシェット主演の映画『TAR/ター』の記事も書いています。
よろしければ、こちらからお読みください。
『キャロル』映画 概要と原作について
【概要】
●製作:アメリカとイギリス
●公開:2015年
●原作:パトリシア・ハイスミス
『The Price Of Salt』
(1952年にクレア・モーガンの名前で発表)
女流作家パトリシア・ハイスミス氏の自伝的小説
●音楽:カーター・パーウェル
●監督:トッド・ヘインズ
●主人公:ケイト・ブランシェット
ルーニー・マーラ
●受賞:第68回カンヌ国際映画祭
女優賞=ルーニー・マーラ―
※原作者の女流作家:パトリシア・ハイスミス氏の作品は
『太陽がいっぱい』
(アラン・ドロン主演作品)
『見知らぬ乗客』(ヒッチコック監督作品)の映画化がされています。
『キャロル』映画 キャストと代表作
【キャスト】
●キャロル=ケイト・ブランシェット
(4歳の娘の親権を夫と調停中の美しき人妻)
●テレーズ=ルーニー・マーラ―
(デパートで働く写真家志望の可愛い女の子)
●アビー=サラ・ポールソン
(キャロルの親友であり、元恋人)
●ハージ=カイル・チァンドラー
(キャロルの夫)
※〈ケイト・ブランシェットの代表作〉
1998年『エリザベス』
2004年『アビエイター』
2006年『あるスキャンダルの覚え書き』
2007年『アイム・ノット・ゼア』
2013年『ブルー・ジャスミン』
※〈ルーニー・マーラ―の代表作〉
2010年『ソーシャル・ネットワーク』
2011年『ドラゴン・タトゥーの女』
以上、
(ここまでお付き合い下さり、ありがとうございました。)
※ケイト・ブランシェット主演の映画『TAR/ター』の記事も書いています。
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